ゴッホの悲劇的な人生や素朴な性格などが作品に滲み出ているのも魅力の1つだと言われています。

ゴッホの「ひまわり」

誰もが1度は目にしたことのあるフィンセント・ファン・ゴッホ氏の代表作「ひまわり」は、1888年8月から1890年1月にかけて描かれた作品です。
日本で最も有名なゴッホのひまわりは「ひまわり5」(15本)ではないでしょうか。
こちらの作品は1888年12月の耳切り事件直前に描かれた作品だと言われており、とても有名な絵画の1つです。

 

さて、ゴッホのひまわりですが、皆さんは現在何種類存在するのかご存知ですか。
実はゴッホのひまわりは全部で12枚存在すると言われています。
その理由は、ゴッホが製作した「花瓶に挿されたひまわりをモチーフとした油絵の絵画」の定義に沿って考えれば、7枚制作されていなければならないからです。しかし、現存しているのは6枚であり、残り1枚はまだ発見されていません。

 

今回は現存する11枚のゴッホのひまわりをご紹介すると共に、彼が描いた「ひまわり」の魅力に迫りたいと思います。

 

 

花瓶に挿さった7枚のゴッホのひまわりをご紹介

フィンセント・ファン・ゴッホ氏の代表作である「ひまわり」は現在11枚存在するとご紹介しましたが、これは花瓶に挿されている作品が7枚、花瓶に挿されていない作品が4枚を合わせた数となっています。
今回は花瓶に挿されている7枚のひまわりについてご説明させて頂きます。

 

ゴッホ氏が初めてひまわりを描いたのは1888年8月だと言われています。
当時のひまわりは3本のひまわりが花瓶に挿さっている爽やかで清々しい印象を与える絵画となっています。
この作品の所有者はアメリカに住む方で、1948年に展覧会に出品された後は非公開となっています。

 

ゴッホ氏2作目となる「ひまわり」は1888年8月に描かれました。2作目のひまわりには5本描かれており、黄色や橙色を組み合わせ、これらの補正色である深い藍色を背景に使用し、1作目とは雰囲気が全く異なる異質な作品となっています。また、この作品以降、明確な色彩対比を用いた視覚的効果を目指したのではないかと推察されています。この作品の魅力は、花瓶の足元に2輪のひまわりの頭が配置されている点です。1920年に日本人の実業家 山本顧彌太氏がスイスにて購入した作品ですが、第二次世界大戦によって焼失しており、現存しておりません。

 

ゴッホ氏3作目となる「ひまわり」は12本のひまわりが描かれており、1888年8月に制作された作品です。こちらの作品は2作目とは異なり、明るくて優しい雰囲気が感じられます。ゴッホ自身が最も気に入っていた作品だと言われています。彼はテオ氏に宛てた手紙の中で「3枚目のものは明るい色が明るい色に重なっており、これを1番良いものにしたい。もっと描きこんでゆくつもりだ。」と記しています。

 

ゴッホ氏4作目となる「ひまわり」は15本のひまわりが描かれており、1888年8月に制作された作品です。ゴッホ氏お気に入りの3作目のひまわりを基に作成された4作目のひまわりは、日本の浮世絵から強いインスピレーションを受けて制作されたため、ひまわりの力強い生命力と逞しさを表現するために絵具を厚く塗り重ねて描かれています。
4作目は同じ時代に活躍していたゴーギャン氏などの画家たちを誘い、太陽の光がたっぷり降り注ぐ眩しい南フランスの町 アルルにて誕生した絵画です。

 

ゴッホ氏5作目となる「ひまわり」も4作目と同様15本のひまわりが描かれています。1888年12月から1889年1月にかけて製作された絵画です。この作品は1888年12月に起こった「耳切り事件」の直前に描かれたものではないかと言われています。このひまわりの絵画は1987年3月に現・損害保険ジャパン日本興亜が購入し、当時は贋作ではないかと噂されておりましたが、1999年に専門機関に調査を依頼した結果、本物のゴッホの作品だと判明しました。

 

ゴッホ氏6作目となる「ひまわり」は12本のひまわりが描かれています。1889年1月に制作されており、7作目の「ひまわり」と同時期に描かれているため、この作品の順番が前後されることが多いようです。また、6作品目のひまわりは3作目のひまわりを模写したもの、7作目のひまわりには15本のひまわりが描かれているため、5作目の15本のひまわりを模写して制作されたと考えられています。この2作品は、ゴッホ氏が病院から戻ってきた際に描いた作品として有名な絵画です。

 

また、4枚の結実期のひまわりは、全てテーブルの上に置かれた絵画となっており、花瓶に挿さっている7枚の絵画とは異なる魅力を持っています。4枚のひまわりは、ベルン美術館・ファン・ゴッホ美術館・メトロポリタン美術館・クレラ=ミューラー美術館にてそれぞれ飾られています。

 

 

ゴッホのひまわりの魅力とは

後期印象派の画家として知られるVincent van Gogh(フィンセント・ファン・ゴッホ)氏は、1853年3月30日にオランダのフロート・ズンデルト村で生まれました。4つ歳下の弟テオドルスとは終生固い絆で結ばれていたと言います。

 

ゴッホ氏の絵画を1度でも目にした方々は、必ず彼の絵画の虜になると言われています。
彼の絵画はうねりや渦巻きなど独特な表現方法や圧塗りなどが盛り込まれており、一際強い存在感を与えます。
ゴッホ氏の作品に惹き付けられるのは独特な技法だけではありません。
彼の悲劇な人生や素朴な性格などが作品に滲み出ているのも魅力の1つだと言われています。

 

ゴッホは34歳のとき、画家仲間たちに手紙を送りました。
そして、燦々と照る太陽が眩しい南フランスのアルルに行き、ひまわりのように黄色の家の中で1人みんなを待ちました。
しかし、彼のもとにやってきたのはゴーギャンだけでした。
彼が一生懸命描いたひまわりの絵は、画家仲間たちと楽しく生活を送るための黄色い家の中に飾るためのものだったそうです。
ひまわりが大好きで繊細な心と優しい性格のフィンセント・ファン・ゴッホ氏のひまわりはストレス社会を生きる私たち現代人の心を太陽のように明るく照らし、癒してくれるそんな絵画ではないでしょうか。